JOURNAL

【農園ダイアリー】
畑からボトルへ。
1株3グラムの
命を繋ぐ手仕事

Report

2026.09.29

【農園ダイアリー】畑からボトルへ。1株3グラムの命を繋ぐ手仕事

語り手:ラ・カスタ ナーセリー 担当スタッフ 坂﨑 勇人

猛暑と厳格な有機JAS認証の壁を越え、大切に育てられたエーデルワイス。(前回:第2回「猛暑と有機JAS認証、エーデルワイスを繋ぐ執念」はこちら)

しかし、商品完成までの道のりはここからが本番です。収穫からオーガニックエキスとして抽出されるまで、すべてを人の手と目で繋ぐ、途方もない手仕事の工程が待ち受けています。

収穫と乾燥を支える職人技

まず収穫ですが、一律に刈り取るような機械は一切使いません。スタッフが一つひとつの株を観察し、一番の採り頃を的確に見定めて手作業で摘み取ります。早すぎても遅すぎてもダメで、ここだという今が旬のタイミングで収穫する。これは機械による作業や多数の人員を動員する人海戦術では絶対にできないやり方なんです。

 

 

手塩にかけて育て、ようやく収穫したエーデルワイスは、根元の泥を落とすため、流水を使って一株一株、丁寧に手洗いしていきます。

 

その後、長い陰干しの工程に入ります。少しでも水分が残り保存中にカビが生えてしまえば、すべてが無駄になってしまう非常にシビアな作業です。毎日私たちが乾燥の具合を見極め、「ここぞ」というタイミングで引き上げます。小さな変化も見逃さない、感覚だけが頼りの工程ですね。

 

こうして完全に乾燥したエーデルワイスはエキスを製造する専用工場へと送られ、抽出溶媒にじっくりと漬け込まれることで、ようやく商品に配合されるエキスとなります。

 

1株わずか3グラムの重み

これだけの手間と時間をかけて、1つの株から得られる乾燥エーデルワイスはわずか3グラム。商品の原料を確保するためには、予備を含めた相当な数の株を絶やすことなく育て続ける必要があります。

 

1年に1回しか収穫のチャンスがない中で、天候と向き合いながらギリギリの数量を繋ぐ、まさに贅沢な一滴なんです。

 

だからこそ、完成した商品が店頭に並んだ時の喜びはひとしおですね。栽培で悩まされたからこそ、立派になって送り出されていく姿を見ると感慨深いです。

 

まるで結婚式を見ているような、娘が嫁に行った気分になりますね。大切に育ててきたエーデルワイスが、綺麗なボトルに収まって羽ばたいていくのを見ると、手はかかるけれど、本当に愛おしい子だなと感じます。

 

未来へ命を繋ぐ新たな挑戦

しかし、喜んでばかりはいられません。近年の異常気象と地球温暖化により、現在の標高850メートルでの栽培は限界に近づきつつあります。

 

日よけなど栽培方法を工夫して5〜10年先まで栽培はできても、20年後も作り続けられるかを考えると、さらに標高の高い1,300メートル帯の畑への移転を考える日が来るかもしれません。親から子へ愛され続けるシリーズになってほしいからこそ、先を見据えた準備が必要です。

 

15年の歳月をかけて実現したエーデルワイス栽培。その一滴には、大町の自然の恵みと、私たちが注いできた情熱が凝縮されています。

 

だからこそ、まずは一人でも多くの方に使っていただきたい。そして、こうした私たちの想いやストーリーを心の隅に少しでも留めておいていただけたなら、諦めずに頑張ってきた甲斐があったなと思います。それが、これから先もこの畑でエーデルワイスと向き合い続けていくための、大きな支えになってくれます。

 

 

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