Special
Interview
美を紡ぐひと
Weaver of Beauty
#01
メイクアップアーティスト・画家・植物療法士
早坂香須子さん
Kazuko Hayasaka
心と髪を整えて、
次の自分へ。
長野県、北アルプスの麓。ヘアメイクアップアーティストで植物療法士の早坂香須子さんは、長らく活動の拠点だった東京を離れ、今、森の家で暮らしています。窓の外に広がる一面の木々と、すぐ脇を流れる小川。この森で過ごす一日と、暮らしのなかで芽生えた、「ご自身の髪との向き合い方」についてお話を伺いました。
森の暮らしがもたらした、
自分を整えるリトリートの時間
⸺森のお住まいでの、一日の過ごし方を教えてください。一番好きな時間はいつでしょうか。
早坂香須子さん(以下、早坂)24時間、どこを切り取っても素晴らしいんです。朝、早いときは5時半頃に犬たちに起こされて、お散歩をして、犬と猫にごはんをあげることから一日が始まります。その後、コーヒーを淹れて朝日を感じながらホッとひと息つく時間が好きですね。日中は、アトリエで絵を描いたり、夕方には、友人夫婦と始めた畑で採れた野菜とナチュールワインで一杯いただくのも最近の楽しみ。紫色に染まっていく空だったり、虫の音に季節の移ろいを感じてみたり。365日、一日として同じ景色がないので、本当にあっという間に過ぎていきます。
⸺東京で過ごされていた頃と比べると、ライフスタイルも大きく変わったのではないでしょうか。
早坂東京では常に予定を詰め込んで分刻みで動いていました。その点、この森では、「一日に入れる予定はひとつだけ」と決めています。自分の心身をリセットするための“リトリート”として、ここに移住したんじゃないかなと改めて実感する日々です。
⸺長年、人の肌や心に触れるお仕事をされてきた早坂さんだから、より深く実感されるのかもしれませんね。
早坂「人を癒したい」「メイクを通して女性を元気づけたい」という想いで、これまで仕事に取り組んできたけれど、実は一番ケアが必要だったのは自分自身だったんですよね。この数年間、自然の中での暮らしを通して養生を重ねて、やっと自分が整ってきた感覚があります。そう思えたからこそ、内側からあふれ出てくるもので、また何か新しい表現ができるかもしれない。そんな心持ちに、やっとたどり着いた感覚です。絵を描くことも、この森と出合ってから始めた新しい挑戦のひとつ。自分の人生にこんな素敵な変化が待っているとは思いもよりませんでした。
⸺絵は、この森に来てから描き始められたのですね。
早坂実は、子どもの頃は絵の学校に通っていたこともあるんです。それくらい絵が好きだったはずなのに、大人になってからは「絵はアカデミックな教育を受けた人がやるもの」という思い込みができてしまって……。ずっと「私には描けない」と断っていました。それが、この森に来てから、周りの方にすすめられるまま描いてみたら、みんなが褒めてくれて。それが、なんだかとてもうれしかったんです。それ以来、絵日記のように毎日描くようになりました。
⸺くり返し描かれているモチーフはありますか。
早坂朝焼けです。この家からは、天気のよい日にとても綺麗な朝焼けが見えるんです。冬は雪が積もっているので、早朝に起きると、あたり一面ピンク色に染まっていて。大きな山って男性的なイメージがあるけれど、朝焼けの一瞬だけは女性的で、やさしいんです。ドイツ語では朝焼けをモルゲンロートと言うんですけど、私なりのモルゲンロートを描いていきたいなと。
リセットすることから始まる美容。
大人の白髪悩みと向き合うまで
⸺森での丁寧な日々が、そのまま心身の「養生」になっているのですね。日頃のご自身のためのセルフケアで、意識されていることはありますか。
早坂「冷えとり」ですね。半身浴をして靴下を重ね履きする健康法に出合ってから、体を温めることを常に意識しています。実は、この森の家を建てるときに一番こだわったのも、バスルームなんです。
⸺バスタイムは、どのように過ごされていますか。
早坂夏でも20分以上は湯船に浸かるようにしています。しっかり下半身を温めることも大事な養生のひとつ。お風呂には温かい飲み物とタオル、本やスマートフォンを持ち込んで過ごしています。バスルームの中で仕事のメールを返すこともありますね。
⸺まるで、もうひとつの居室のように心地よい空間ですね。
早坂それが、子供の頃はお風呂を面倒に感じてしまうこともあって(笑)。やっぱり「空間の心地よさ」と「そこで手にするアイテムの魅力」の力は大きいですね。一度その心地よさを体感すれば習慣になりますし、今では大切なルーティンになっています。
⸺早坂さんにとって、お風呂はどんな時間なのでしょう。
早坂美容の本質って、まず「しっかり落とすこと(リセット)」から始まるんですよね。一度クレンジングで不要なものを落としてクリアにしないと、どんなにいい美容成分も届かない。お風呂で汗とともにその日の疲れやストレスもきれいに流す。そのセルフケアの延長線上に、ヘアケアもあるのだと感じています。
⸺髪のケアについて伺わせてください。長年美容の第一線で活躍されてきた早坂さんにとって、髪とはどのような存在でしたか?
早坂メイクアップアーティストとして、肌のケアについては何十年も向き合ってきました。でも、現場ではヘアスタイリストさんと組みますから、髪はプロである彼らの領域。「自分が深く立ち入る場所ではない」と、どこかで線引きをしていて、自分の髪のことも後回しにしがちだったんです。
⸺その意識が、森での暮らしのなかで変わっていったのですね。
早坂ここで暮らし始めてしばらくして、ずっと続けていた白髪染めを一度やめてみました。頭皮や肌への負担も気になっていましたし、「伸びたら染めなきゃ」という義務感から解放されて、ありのままの「今の現在地」を見てみたくなって。実際に染めるのをやめてみると、白髪が混ざっていく自分も意外と悪くないなと思えたんです。ただその一方で、「この新しい髪の状態と、どう付き合っていけばいいんだろう?」と、これまでにない髪の変化に戸惑う時期でもありました。
ラ・カスタと叶える
エイジングケア*。
髪と頭皮に手をかける
セルフケア習慣
⸺ラ・カスタと出合ったのは、その頃ですか。
早坂実は長野に移住するずっと前から、ラ・カスタの商品は愛用していました。撮影現場ではロングセラーの髪の美容液「アロマエステ ヘアエマルジョン」が定番で、湿気で髪が広がりやすい梅雨の時期には欠かせないアイテムだったんです。そのラ・カスタが誕生したブランドの故郷が、自分が引っ越してきた北アルプスの麓にあったんです。
⸺それで、直営店である「ラ・カスタ 北アルプス本店」に足を運ばれたのですね。
早坂店舗のスタッフの方に、思い切って自分の髪の悩みを相談してみたんです。そこで、エイジングケア*シリーズの「アロマ リヴァイタ」をすすめていただいて。それまで、ヘアケアをライン使いすることはあまりなかったのですが、シャンプーの選び方から、タオルドライ後のヘアミルクの付け方、ドライヤーで乾かす順番まで丁寧にレクチャーしていただいて。お店で実際に試した後に髪に触れたら、驚くほど指通りがなめらかで本当に感動したんです。思わず「ここにあるものを全部ください!」と、そのまま購入して帰ったほどでした。(*エイジングケアとは、年齢に応じたケア)
⸺何が一番、早坂さんの心をつかんだのでしょう。
早坂単に汚れを洗い流すだけでなく、「一度頭皮と髪を適切な状態にリセットし、健やかな状態へ整える」というアプローチですね。その骨格となる哲学が、私が長年追求してきたスキンケアの考え方と、まったく同じだったんです。頭皮のクレンジング、シャンプー、トリートメント、そして仕上げの髪の美容液まで体系化されている。そして何より、香りが好きなんです。
⸺ライン使いを始めてから、なにか変わったことはありますか。
早坂とにかく「自分の髪に触れる時間」が格段に増えました。以前は髪を乾かすことすら適当で、シャンプー・トリートメントをして出かける前にオイルをサッとなじませる程度だったんです。そこに「シャンプー前の頭皮クレンジング」が加わり、お風呂上がりには「髪の美容液」をつけて丁寧に乾かす。用途に合わせた専用のケアアイテムが揃っているので、自分の髪に手をかける愛おしい時間が生まれました。
⸺これだけアイテムがあると、使う順番に迷うことはありませんか。
早坂あります(笑)。でも、月に1~2回は北アルプス本店に足を運ぶので、そのたびに知識豊富なスタッフの方が丁寧に教えてくださるんです。新しい商品のことも、使い方も。自分一人で髪の悩みを抱え込むのではなく、プロと一緒に自分の髪と向き合っている感覚があってとても心強いですね。今では、遊びに来てくれた友人たちを連れて行くことも多いです。同世代の友人はみんな髪の変化や悩みを抱えているので、商品を買って終わりじゃなく、そうやって寄り添ってくれる場所があることもラ・カスタの魅力じゃないかなと思います。
⸺植物療法士としてアロマのプロでもある早坂さんから見て、ラ・カスタの香りの魅力はどこにありますか?
早坂重ねても、なじみ合う香り同士なんです。ラ・カスタのものなら、シリーズが違っても、これとこれを合わせよう、と自由に組み合わせられる。だから、お風呂上がりにも、心地よい香りを重ねて楽しむことができる。朝使えば、そこから素敵な一日が始まる。夜は「今日もお疲れさま」と自分を労いながら質の高い睡眠へと誘ってくれる。髪は顔の一番近くにあるから、寝返りを打った瞬間にふんわりと香るアロマの香りで、知らず知らずのうちに心まで整っていくのを感じます。そんなふうに、バスタイムが終わった後も、豊かな香りの物語がずっと続いていく感覚ですね。
北アルプスの豊かな自然を、
絵とストーリーブックにのせて
⸺この秋のホリデーコレクション「ファンタジアブルーム」では、限定パッケージのイラストを描かれたそうですね。
早坂ラ・カスタさんが創り上げた香りやテクスチャーの心地よさからインスピレーションを受けて、イラストを描きました。モチーフにしたのは、この森で出合えるものばかりなんです。例えば、カモシカなどの動物たちや、近くにある湖やそこで採れる水晶など。香りを構成するラベンダーやペアーも描きました。ラ・カスタが生まれた北アルプスの自然の豊かさや美しさが、手にとる方に伝わったらうれしいです。
⸺コフレには、その絵と物語でつづられた「オリジナル ストーリーブック」も付属します。
早坂「いつか絵本を作ってみたい」という夢はずっと心の中にあったんです。ただ、これまでの仕事柄、端的に、わかりやすい言葉で伝える習慣が染み付いてしまっていて、物語を書くのは難しそうだと感じていました。そんな時にラ・カスタさんとの打ち合わせで「絵本という形でストーリーを届けてみませんか?」とご提案いただいて、本当に胸が躍りました。これまでオーガニックコスメの開発に携わる中でも、香りを通じてストーリーを伝えることはずっと大切にしてきたので、それを一冊の絵本として表現できることにワクワクしながら取り組みました。
⸺今回のクリエイティブ&アートディレクションを担当されたpacoさんが、物語の文章も手がけられたのですね。
早坂pacoさんは長年信頼している大切な友人なんです。彼女の紡ぐ文章がすごく好きで、いつか一緒に本を作りたいね、と話していた夢が叶いました。私は大まかなプロットは考えられても、文章に落とし込むところで立ち止まってしまう。そこで、pacoさんのお力を借りながら、物語性を膨らませていきました。
⸺どのような想いが込められたストーリーなのでしょうか?
早坂「自分の姿を見るのが少し苦手だった主人公の女の子が、鏡を通して未来の自分と出合い、少しずつ自分のことを好きになっていく」という物語です。私自身が美容を通して長年伝えたかったメッセージも、まさに「自分を愛すること」なんです。
⸺温かいメッセージがありながら、物語の中では、はっきりした答えは描かれていませんね。そこには、なにか意図があるのでしょうか。
早坂みんな、もう十分に日々を頑張っているので。そこに「肯定感を上げましょう」と言われても、かえって重たく感じるんじゃないかと思って。だから、あえて言い切らないようにしたんです。
⸺かつては「自分には描けない」と諦めていた絵とこの森で再会し、それが今、ラ・カスタの商品として誰かの背中をやさしく押すきっかけになろうとしていますね。
早坂本当に、人生にはこんな素敵な巡り合わせがあるのだと感動しています。私自身、ラ・カスタのヘアケアと出合ったことで、今の自分の髪や白髪を受け入れ、「この髪とともに心地よく生きていこう」という勇気をもらいました。そうやって勇気や希望をいただいたぶん、お返ししたいと思っていたので、今回こういった機会をいただけて、本当にありがたかったです。ヘアスタイルが決まらなかったり、肌の調子ひとつで「今日は外に出たくない」と落ち込んでしまう。そんな経験は、誰にでもあると思うんです。でも、今の自分も悪くない。自分を労わり大切にすることが、未来につながっている。そんなことが、物語を通して誰かに伝わったらうれしいです。
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Profile
早坂 香須子 | Kazuko Hayasaka
画家・メイクアップアーティスト・植物療法士
看護師として勤務後、メイクアップアーティストへ転身。数々の雑誌や広告等で活躍。アロマや植物療法にも精通し、執筆やオーガニックコスメのディレクションなど活動は多岐にわたる。2024年、長野県移住を機に画業をスタート。放置林の再生や、土壌の再生をしながら森に暮らす。AMPP認定 メディカル フィトテラピスト。
著書「YOU ARE SO BEAUTIFUL ~最高のわたしに出会う7日間」(カエルム)「100% BEAUTY NOTE 早坂香須子の美容 A to Z」(KADOKAWA)「わたしの中にも朝焼けはある」(河出書房)服部みれい氏との共著